「開運 無濾過生 純米」と「鳳凰美田 純米大吟醸 生酒 5割磨き」を飲んだ

開運 無濾過生 純米

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 この開運は冬限定で販売されているもので、この時期の飲み屋では結構目にすることができると思う。

 香りは純米らしいおとなしいものだが、生酒のフレッシュさが感じ取れる。冷蔵庫で冷やした状態で飲んでみると少しインパクトが薄い印象を受けた。いや、十分うまいのだけれど、もう少し米の旨味を感じ取りたい思いがあったし、多分この酒の実力はまだこんなものではないのではないか、となんとなしに思ったのだった。

 そこで燗にしてみた。生酒といえばやはりそのフレッシュさを楽しむもので、大体は常温か雪冷えぐらいで飲むのが一般的な気がしたが、まあものは試しということでやってみた。純米だし。

 燗にすると米の旨味がグッと出てきて、とても旨い!香り云々は純米なのだから失われても大して気にはしない。フレッシュさは失われているが、飲みやすい。日本酒を余り知らない友人でも「燗酒のほうがいい!」と言っていた。

 この飲みやすさは、おそらく生酒の性質から来ているのかな?と思う。表面上のフレッシュさが失われたと言っても、消えたわけではなくて、生酒の酒質は燗にしても残るのだ。なんというか、やはり日本酒(特に純米酒)は温めて飲むものなんだな...と思わざるをえない。

 燗が美味かったので全部燗にしてしまったが、ひょっとしたら常温でも結構旨いのかもしれない。試せばよかった...

鳳凰美田 純米大吟醸 山田錦5割磨き

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 こちらは一升瓶で購入。鳳凰美田の小林酒造といえば最近人気が上昇し続けているイマドキな酒質「甘くて、香り高くて、スッキリ」な酒を作り続けている。鳳凰美田の甘さはとても良い。日本酒初心者にはぜひ鳳凰美田をオススメしたいところである。

 さて、飲んでみるとまさに期待を裏切らない味。米の旨味が上品に、わかりやすくまとめられているので、難しいことを考える必要もない。旨い!後味もしっかりキレるので、甘い酒ではあるが、すぐには飲み飽きない。香りもまさ大吟醸のそれで、全くもって付け入るスキのない良い酒であると思う。これで値段が一升瓶3000円ほどなのだから、驚きである。

 大喜びでスイスイ飲んでいると「燗にしてはどうか?」と日本酒好きな友人から提案が来た。通常、大吟醸というものはあまり燗にしない。日本酒を嗜んでいる方ならお分かりと思うが、燗にすると吟醸香は飛んでしまうからである。特に「生酒+純米大吟醸」という組み合わせは、とにかく冷蔵庫で冷やして飲むのを想定しているはずなので、おそらく、この酒を燗にすることはほぼ無い。

 とはいえ面白そうだし、そういえば「純米大吟醸十四代を燗酒としたら、意外とイケる!」みたいな記事を見たことがあったのを思い出した。

 というわけで試しにやってみた。燗にすると勿論吟醸香はすべてサヨナラだが、先ほどの開運ほどアルコールの香りがしてこない。

 そして飲んでみると、もともと多かった旨味がさらに強化され、舌の上にスルリスルリと滑りこんで、ズシンと乗っかかってくる。後味のキレはそのままで、その旨味がスッと切れるのだから、これはもう旨いというしか無い。

 これがこの酒の最高の楽しみ方かと言われると難しいところではあるものの、鳳凰美田の酒にはこういう一面もあるのか!というのを発見することができた。

 思えば、最近なまじ知識がついてきたことで、型にはまった飲み方しかしていなかったなと思う。「生酒なんだから冷だろ」とか、「吟醸なんだから(純米でも)燗はないだろ」とか、日本酒は温度変化を楽しむものでもあるのに、無意識のうちにそういう「邪道かも?」という部分はすべて切り捨ててしまっていた。色んな飲み方を試せるのは宅飲みの楽しみの一つであるのだから、これからは色々試して飲んでみたいなと思う。