「鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過生酒 亀粋」を飲んだ

 花見に合う酒はやっぱり鳳凰美田かなあと思っていた。そんなわけで、今月の花見は鳳凰美田に絞って選択。数ある中でも「鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過生酒 亀粋」を選んだ。最後の一本だった。

 太字がインパクトを放っているラベル。細い達筆風なラベルが多い鳳凰美田の中では珍しい方のラベルになると思う。瓶も濃い緑瓶で、高級感がある。濃い色の瓶は、普通の緑瓶よりも光をシャットアウトする分、ちょいと割高なんですよね。まあ瓶の色と味は必ずしも比例しないので、なんでもいいんだけれども。

 この説明文を呼んで胸を踊らせない酒飲みはいまい。無濾過、本生、雫といった小躍り必須の単語が並び、さらに常温で旨いとある。加えて亀の尾を元に作られた「亀粋」を使用とのこと。もはや期待しか無い。

 酒器に注ぎ、まず感じるのは恐ろしく主張してくる吟醸香。これでもかと言わんばかりにフルーティな香りを放ってくる。料理と合わせるときには少し悩みそうだが、単品で飲むのであれば、この上なく嬉しい香り。口に含むと、香りで得た印象を裏切らない甘い味わい。いやそれ以上か。一瞬「いちごのショートケーキかこれは!?」と思うぐらいの強烈なコクで、甘い日本酒は数あれど、このような酒はかなり珍しい。

 そしてただの甘さだけで終わらせないのが鳳凰美田。辛味がじわりじわりと顔を出し、クドくならないうちに甘みが引き、最後には引き立った辛味でスッとキレる。うーむ見事。個人的にはもう少し辛味が穏やかでもいいかなと思えたが、この作りはやはり鳳凰美田ならでは。桜にも合う、とても良い酒だったと思う。