前回は見た目についてのインプレをお伝えしました。
今回は自分なりに感じた走行のフィーリングについてお伝えしたいと思います。
まあ正直言ってバイクほどにはわからないんですけどね。それでも購入検討されてる方に少しでも役に立てたらなあと思ってます。
エンジンスペック
馬力は192馬力で、5000回転で最大出力をだすキャラクターです。
ガンガン回すエンジンではなく、低中回転で元気なエンジンですね。
排気量は2リッターでハイオク仕様。ターボを駆使して馬力を稼いでいます。
ところでエンジンには「ツインパワーターボ」と書いていますが、これはシングルターボです。ツインターボではないのでご注意を。
街中走行は問題なく走れる
ブレーキから足を離してクリープで走り出します。力強く発進。軽くアクセルを加えてやると、前にグググッと進み、すでにかなりの加速力を持っている事が伺えます。
ちょっとした追い越しも少々アクセルを加えるぐらいで十分。急な上り坂も大して踏まなくともらくらくと登ってしまうパワーがあります。
町中であればアクセルを踏み込むことはほとんどないでしょう。
その割にはエンジン音は非常に静か。振動もほとんど有りません。静かすぎて拍子抜けするレベルです。初めて乗った時、これホントにエンジンかかってんの?アイドリングストップかかってるんじゃないの?と思わせるほどに静かでした(ちなみにアイドリングストップも付いててONにすると本当にエンジンが切れます)。
この静かさはそのまま高級感に繋がると思います。加速するときには若干ボーという音を響かせてくれます。
視界は良好。クーパーSはあくまでも「スポーティカー」なので、スポーツカーのように視界が悪いということはありません。
ノーズの先も把握しやすいため、街中で苦にはなりません。
バックもキチンと後ろが見えるので、問題ないと思われます。
ハンドルはどっしりとしており、ドイツ車らしい手応えがあります。
まあ正直いって街中ではオーバースペックなフィーリングです。もっとスピードを上げるとビシっと決まりそうな予感を感じます。
足回りはガッチリとしており、路面にギャップがあると結構はねます。これは人によってはとてもつらい特性かもしれません。ただしガチガチの足ではないので、ちゃんとショックは吸収してくれます。少なくとも僕は全く問題無いと感じました。
逆に「機敏に反応してくれるので面白いなあ」と思って乗っています。
ブレーキはかなり効きます。ただしこれはちょっと効き過ぎですかね。街中でこれほどまでに強力なブレーキは必要ないと思います。
少し気になったのは二点。まずATの変速が燃費重視なのか、ギアを落として欲しい時になかなか落としてくれないことがあります。
これによって程よく加速しようとしても
自分「よしちょい加速」
クーパー「ブォー....」
自分「あれ?」
クーパー「ブオー..ブォォン!」
自分「今かい!」
と言ったことが稀に起こります。
二つ目は、意外と小回りがききません。
例えば駐車場から出るとき、ハンドルを目一杯きっても思ったほど大して曲がりません。この辺りの仕様はスポーティカーという事なのかもしれません。
山道走行で活きるエンジンとゴーカートフィーリング
山道に入ってまず感じるのは幅の大きさです。やはり3ナンバーということなのか、意外と道が狭く感じてしまいます。
ガードレールがかなり近く感じ、これのどこが「ミニ」なんだ、という思いになります。
そしてひき続き気になるのがATの変速。どうも思ったようにしてくれません。もう少しエンジンブレーキを使いたい、もうちょっとだけ引っ張ってくれれば...やはり所詮ATはこんなもんなのか...そんな思いが頭をよぎります。
そんな思いを解決するのがSモードです。
ATセレクタをDから左に倒し、Sモードに入れるとアイドリングの回転が若干高くなります。
高回転まで引っ張ってくれるようになり、シフトもトントンと落としてエンジンブレーキを使ってくれるようになります。
スポーティな感じですが決してめちゃくちゃ引っ張るとか、ガンガン落とすとか、そんな押し付けがましくなく、普段の街乗りもこれでいいんじゃないか、そう思わせる変速です。正直言ってこちらの方がしっくり来ますね。
Sモードで変速さえ良くなれば後は問題ありません。加速はやはり素晴らしく、トルクを活かしてグイグイ前に進んでいきます。高回転まで回す爽快感はあまり無いですが、僕はトルク型エンジンが好きなので問題無いです。エンジンブレーキも極自然。違和感はありません。
どっしりとしたハンドリングはペースを上げるとしっくりきます。少しの操作でクイックに車体が反応し、すぐさま旋回を初めます。驚異的な安定感があり、地面をはうようにグググッとコーナリングします。
まあ車体は重めなので決して軽快ではないのですが、それでもゴーカートフィーリングを感じさせる挙動は十分に備えていると思われます。
街中でやたら効くなあと感じていたブレーキは山道でも期待以上の働きをします。特に下り道。そんな軽い車体ではないのですが、しっかりとブレーキがかかります。これもゴーカートフィーリングを感じさせる一端を担っているのかなと思いますね。
高速道路では性能が楽さに繋がる
高速道路では持ち前の硬い足と剛性のある車体でしっかりと駆け抜けてくれます。
ペースを上げても全く不安定にならず、むしろ速度を上げれば上げるほどしっくりきますね。少々の横風でもちゃんと踏ん張ります。
パワフルなエンジンはそのまま運転の楽さにつながります。流れに乗ってもエンジンはまだまだ余裕を感じさせます。
結果として運転が疲れにくく、高速道ならどこまででも行けそうだなあと感じてしまいます。
パドルシフトは意外と楽しいし使える
この車両にはパドルシフトが付いています。自分は正直パドルシフトには懐疑的でした。
やはりギアはレバーをガチャガチャやって変えるものだと思ってたし、親や親戚がそうやってMTを操作して運転するのを見て育ってきましたからね。なんかゲームのコントローラっぽいなあと。あんまり使う気になれなかったのです。
ところが実際に使ってみると、意外とギアチェンジしている実感があります。恐らく変速のダイレクト感がATにしてはあるからでしょう。パコンとシフトスイッチを押してギアを合わせて山道をグイグイ登っていくのは、MTほどでは無いにせよ、なかなかに楽しいです。
走行モード
この車両には3つのモードが用意され、切り替えることで走行性能が大きく変わります。
グリーンモード
エコモード。パワーを抑え、エアコン出力も抑えられます。メーターにはエコ判定ゲージが表示され、燃費を抑える走行が促されます。
実際にはどれ位燃費が抑えられているのかわかりませんが、確かにパワーは抑えられるので、燃費向上には貢献していると思われます。
走行フィーリングはモッサリとしたものになります。アクセルを軽く加えても余り加速せず、ATの変速設定も燃費重視に変更されているのではないかと思います。高速道路ではパワー不足を躊躇に感じます。特に高速の追い越しの際、踏んでからかなり待たないと加速してくれません。
僕はこのグリーンモードをほとんど使いません。理由はなぜか眠くなるからです。恐らくパワー感が無いために眠くなるのではないかと見ています。
どうでも良いですが訳し方が面白いですね。「効果的な走る喜び」
ミッドモード
標準モード。ミニを運転する場合は基本はこのモードだと思います。
スポーツモードにしなくてもこのモードの時点で加速は十分にあります。街中、山道、高速、すべてこのモードで走っています。
このモードでATをSにするか、マニュアルシフトにすれば大体の場合は必要十分です。
むしろ街中ではパワーが有り余っています。非力なクルマから初めて乗られる方はアクセル踏み過ぎでびっくりすると思われます。
高速の追い越しも少々踏み込めば軽々と追い越せます。ベタ踏みする機会はサーキットでもないと恐らくほぼ無いでしょう。
やはり訳し方が面白いですね。「際立つMINIの走る喜び」。
スポーツモード
「最高のゴーカートフィーリ
ング」。
ターボのブースト圧も変わり、とにかくやたらと速くなります。アクセルには瞬時に反応し「グラララララー!!!」と勇ましいエンジン音を奏でながら一気に加速しようとします。エンジンのフケも明らかに良くなっています。
マフラーからは「パンッ!!」というミスファイア音まで出るようになります。最もこれはしばらくスポーツモードを使い続けると、コンピュータが学習してなくなっていくらしいです。
オプションで「ダイナミック・ダンパー・コントール」という電子式の可変サスペンションを装着すればサスの硬さも変わるようです。僕のクーパーにはつけていないので、変わるとどんな感じなのかはわかりません。
とてもおもしろいモードなのですが、恐らくこれを常用するとあっと言う間にスピード違反で免許がなくなります。エンジンはとにかく加速しようとし、呼応してドライバーも踏んでしまう。
余談ですがこういう走るエンジンっていうのは人間の頭の、理性ではどうしようも無いところに直接訴えてくるんですよね。
このモードもそのたぐいなので理性で抑えるのはなかなかに困難です。
そのため僕はほとんどこのモードを使いません。ただたまにパワーを味わいたいときがあるので、その時はオンにして喜んでいます。
ここまで書いてみると大体がミッドモードなので、まあ必要ないといえば必要の無いものです。ただ、フルパワーが味わえる車体!というだけで、満足感も違ってくるものです。ここは人それぞれだと思います。
総評
ヒトコトで表すならゆったり走ってもキビキビ走っても満足できるクルマ、だと思いました。
2リッターで193馬力とは結構なパワーエンジンかと思いますが、このクーパーSのパワーはとにかくやたらめったら速く走るために特化したものではないと思います。ゆったり走る場合でも、エンジンのパワーを楽しみ、また上質なエンジン特性を味合わせる事を狙って作っているのではないかと思われます。
高い剛性の車体も、のんびり走るのにはオーバースペックですがそれが上質さにつながっているのだと感じます。
そしていざ速く走りたいとなった時もエンジン、車体ともにしっかりと応えてくれる。どんな人が乗っても、どんな走り方であっても合わせてくれる。そんなオールマイティーなクルマかなと僕は感じました。
とは言え街乗りオンリーで使うには余り向かないと思います。足も硬いし小回りもきかないので日常の足にぜひどうぞ、というものではないです。恐らく向いているのは、普段は街乗りにも使いながらも、休日には遠出もしたいし、山道も結構走る。人も3, 4人乗せたい、そして運転が楽しい車がいい。そんな人ではないかと思います。
とまあ二回にわたって自分なりにミニクーパーS(F56)をインプレッションしてみました。少しでも参考になったら嬉しいです。