高山さんまち酒蔵訪問記

高山のさんまち通りにはたくさんの蔵が軒を連ねている。さらに観光地ということもあり、有料試飲を行うことができる。

 
1軒を残し、ほぼすべての蔵を回ったので簡単なレビューを書いておく。 

原田酒造場

おそらくこのあたりで最も人が入っていた蔵。山車という銘柄の入った暖簾がインパクトを放っている。

試飲のシステムとしては200円払うと冷蔵庫にある酒を全て一杯ずつ飲むことができるというもの。

200円払うともれなくおちょこがもらえるぞ!これで飲む。
 
味としては辛めで、初っ端から最後まで辛みとお付き合いしていくテイスト。辛めといってもそこそこのコクがあり飲みやすい。超辛口みたいなのもあって流石にそれは辛い。しかし安酒の辛さのそれとはもちろん違う。
 
僕はこの蔵が一番気に入った。

舩坂酒造店

原田酒造場の向かい側あたりにある。ここはレストランも持っていて、食事をしながらお酒を楽しむこともできる。
 

酒売り場と蔵の間のおしゃれなお庭で試飲することができる。これは一杯700円ぐらいだったか。この蔵一番の酒らしい。

テーブルには塩が配置されておりつまむことができる。

 

飲んでみると大吟醸の豊かな吟醸香が口いっぱいに広がる。コクは控えめで、淡麗な印象。また辛味はそこそこ強く。香り高い辛めの酒が好きな人はハマると思う。個人的にはもう少しコクが欲しい。とはいえこのお酒がダメというわけじゃない。こんなのは個人の好みの問題にすぎない。

平田酒造場

今回一番驚かされた蔵がここ。試飲スペースはかなり小さめで、店の通り道を試飲スペースにしている、という感じ。奥には樽が置いてあったりするが勿論入ることはできない。

熟成古酒の酔翁。こいつには驚かされた。

古酒独特の香りがかなり抑えられている。飲んでみるとまろやかな旨味が口の中にふわああと膨らんでいく。キレはかなりお上品で、辛味を感じさせずに切れていく。

古酒はなかなか自分ごのみのものを見つけるのが難しいと思ってるけど、これは完全に好み。これほど優秀な古酒はこれまで飲んだことがない。夜中、みなが寝静まった後にゆったりとした音楽を聴きながらじっくりと対話したくなる、そんなお酒だった。

高山で試飲巡りするなら真っ先に向かって欲しい。なにせ1日限定数十杯らしいので。

ちょっと休憩

味噌、醤油を販売している「大のや」。中では味噌汁の試飲ができます。

ちょい濃い目の味噌汁。酒を入れた後ということもあって何杯でも欲しくなる。

あと甘酒みたいなのがあったので注文。

 

この甘酒みたいなものは白酒という名前で、米麹のお酒なんだとか。アルコールは7%と清酒に比べるとかなり控えめ。甘さはかなり強いですが後味はあんまり残らないようになっています。

平瀬酒造店 

観光客で賑わっているエリアからは少し外れたところにある。ひっそりとした蔵に入ると、外との気温差に驚かされる。なにせ外は25度以上であるのに蔵内はストーブを炊いているのだから。どうやったらここまでひんやりとした建物になるんだろうと不思議に思う。

味わいは山車とテイストが似てるけど、もうちょい控えめな味。大きな個性は持ってないけど、ずっと飲み続けるならこれぐらいがちょうどよいのかも、と思いながらクピクピ飲んでいた。ぜひ一度料理と合わして飲んでみたい。

二木酒造

入り口の広い土間から左に上がると試飲・購入スペースがある。

ここにもストーブが見える。稼働はしてなかったけど。

4種類ぐらいあって一杯200円とかで飲める。

この蔵は他の蔵と比べると際立った特徴がある。それは辛さ控えめであるということ。今回周った蔵の中では最も飲みやすい酒質だった。日本酒初心者にはここのお酒か、原田酒造のお酒をおすすめしたい。 

川尻酒造場 

熟成に力を入れている蔵らしい。ここでも古酒を一つ頼んでみた。流石に酔翁ほどのクオリティは無いが、なかなかに親しみやすい古酒。古酒初心者でも結構行けるんじゃないだろうか。

他にもいくつかあったのでちゃんと評価するならそれも飲まないと行けないんだけど、この辺りでそろそろお腹いっぱいになってきた。

総評

酒は地域で味が完璧に決まってしまうものでは無いけれど、やっぱりその地域ではやってる味みたいなのはある。京都伏見の蔵もそうだし。

で、この高山においては、全体的に起承転結全てに辛味を置いたお酒が多い印象を受けた。高山の郷土料理「朴葉味噌」と合わせると結構イケるんじゃないだろうか。

「最近の酒には辛味が少ない!!すっきりして甘いだけやん!!」という人はこの高山のお酒はあっているかもしれない。

もし次行くことがあれば、お酒と郷土料理をセットで楽しんでみたいなと思う。