MAZDA3 FASTBACK 15S Touring(AT) 試乗した

近頃 MAZDA3 の1.5リッターエンジンが気になりまして、試乗に行ってきました。


過去に MAZDA3 はディーゼルエンジンに試乗した経験がありましたが、MAZDA3 が発売してしばらく経って「実は1.5リッターがベストなのでは??」という記事が溢れ始め、これがかなり気になって試乗してみたという経緯です。

ひと目で「良い!」と思えるデザイン

久々に実物の MAZDA3 を間近で見ました。もうなんの文句もないデザインです。欧州車の高級グレード車と戦わせてもなんら遜色ない素晴らしいデザインです。よくこんなクルマ作ったなと思います。日本車の普通の価格帯のクルマでこんなものが生まれる日が来るとは思いも寄りませんでした。日本車には好きになる努力が必要なデザインも多々あるのですが、そういったものとはもう全く別次元のクオリティです。


ただし、デザインによって後方視界が犠牲になっています。後ろ見えません正直。バックの際はバックカメラ使う前提になると思います。おそらくはそれでも足りなくて、360度モニタのオプションを付けて購入することになるのではないかと見ています。

パワーがなくても苛つかない不思議なエンジン

まず気になるパワーですが、パワーはそんなに無いです。ただし「車体が重い割に進まないなあ...」と感じるほどではない、絶妙な位置に落ち着いています。


絶対的な馬力はないのでベタ踏みするとよくわかりますが、バン!と踏んだあとにズイーッと頑張って速度が上がっていく感じ。遅くは無いものの、まあこんなものか、と言った程度のパワーです。


ところが、不思議なことにパワーがなくても特に不満にならないのです。この原因ですが、エンジンのフィールと車体の良さにあります。


まずこの1.5リッターエンジン、パワーはないですが音が妙に良いのです。これはエンジン始動時にいきなりわかります。文字で伝えるのが非常に難しいのですが...スポーティー感、高揚感のある音で、加速時にもよく聞こえます。この良い音によって、パワーが無くても爽快な印象があります。


またエンジンの吹け上がりがかなり良いです。軽快に吹け上がります。本物のスポーツカーほどではないもののスポーティーな印象です。これによって「エンジンをいのままに操っている」印象がかなり強くなります。


そして車体の軽快感です。前はディーゼルエンジンということもあり、全重量が1.5リッターより 70kg 重い車体でした。ところが今回は -70kg となり、比較すると車体の軽快感がかなりあります。これは車体の前部分の軽さが 70kg 変わることになるために軽快感を感じやすくなっているのではと思います(ママチャリのかごに重い荷物を入れて走っているときと、そうでないときを考えるとわかりやすいのかなと思います)。


最後に着座位置です。かなり下目な着座位置になっています。これによって地面との距離が近くなるため、視覚的に加速感が強くなるのです。


これらの要素が組み合わさり、いのままに操れる車としてうまく作られているため、パワーがなくても「お?良いじゃないか」という印象を抱けるようになっています。ものすごくクルマづくりがうまいです。このクルマに試乗したとき、ND ロードスターを思い出しました。なんとなく全体的な印象が似ているんです。もちろん性能や楽しさはロードスターにはかないませんが、結構似てます。実際「ロードスターっぽい」というレビューもいくつかあるようです。また実際にMazdaとしては(全グレードに共通してだと思いますが)「4人乗りのロードスターを作ったつもりです」ということだそうです。


セールスの方に伺うと、エンジン自体はロードスターとベースは同じとのことです。

ブレーキ

かなり良いです。前試乗したときより良く感じました。前は踏んでもあまり効かずに、奥まで踏み込むとようやく効く、Mazdaの主張通りのブレーキになっていました。ただしちょっとやりすぎな感じもあったんですよね。


ところが今回は踏み込むと割とすぐ効き始め、奥まで踏めば踏むほどしっかり効くという作りになっていました。マイナーチェンジの恩恵か、ディーゼルエンジンとの重さの差か、あるいは両方かわかりませんが、とにかく違和感がないブレーキでした。

車体

先ほど軽快感がある車体と書きました。そのおかげか、コーナリングもすいっと入っていくイメージです。かなり自然に曲がれます。また MAZDA3 には G-ベクタリング コントロール プラス が搭載されており、この恩恵があるものと思います。正直ちょっと試乗したぐらいではそれが如何なるものか詳しくはわかりませんでしたが、つまり乗り手に意識せずに自然に曲がれるシステムがうまく働いているということなのかなと思いました。

総評

MAZDA3 FASTBACK 15S Touring は、エンジンのパワーはさほど無いものの様々な「走りを楽しくする要素」が高バランスで組み合わさっているので、 乗り手を不満にさせないクルマになっていることがよくわかりました。そしてこれが重要な点なのですが、1. 家族が問題なく乗れて、2. ロードスターにある程度近い楽しみを得ることができ、3. かつ欧州の高級車以上のデザインを得ることができる。このクルマの車体価格は230万程度なので、この価格で普段遣いできるクルマであるにも関わらず、運転が楽しく、特別感のある存在を手に入れることができるというのは、凄まじい価値だと感じました。