「雪の茅舎 純米吟醸 美酒の設計 生酒」を飲んだ

酒屋でなんとなしに冷蔵庫を見てたら発見したこのお酒。


なんといっても目を引くのが「美酒の設計」という誇らしげな文字。「秘蔵」とか「幻」とか、そういう謳い文句はスルーする事が多いのですが、そんな安直なネーミングではないことと、なによりも雪の茅舎という有名銘柄がそんな文言を載せているものだから、これは試してみなければと思い、すぐさま購入してしまいました。

このお酒には特等の山田錦が使用されており、誇らしげに掲げられています。肉にもA5だとかランクがありますが山田錦にもそんなものがあり、これは上から2番目の品質を誇る山田錦ですね。

いたずらに50%まで削って大吟醸としてないあたりも、このお酒のこだわりを感じます。

さて、まず香りですがいわゆる最近流行りの吟醸香がしっかりしていますが、少し抑えめで美しい香りがします。大人しく、クリアな印象です。
飲んでみると香りから予想した通りの吟醸酒の味をまず感じますが、ほのかな青リンゴのような旨味が少し控えめに感じます。そしてしばし待つとピリッとした辛味を少し感じて辛味が顔を出し、キレていきます。この辛味はその後も結構舌の上に残り続けますね。

この控えめさとちょっとしつこめの辛さが「あれ?どんな味だったっけ?」を引き起こし、その度に一杯、また一杯と杯が進んでしまいます。

このお酒はいわゆる優等生な性質ですがそれにとどまらず、更にその先、品の良さを併せ持っており、これがこのお酒をワンランク上に感じさせる大きな特徴となっています。

さて、せっかくの宅飲みなので燗酒も試します。燗酒にするとはやりの味わい、特に青リンゴのような風味は息を潜めますが、上品さは継続してあります。辛味がほとんど無くなり、米の旨味がとろみのような味わいを見せるようになり、非常に上品な燗酒となります。ちょいと高めの温度でも大丈夫。控えめな性質は継続してあるので、グイッと飲むのが旨味をつかむコツです。


この燗酒、品が良く、後味がスッと溶けるように消えていく。これはかなりすごい。こんなに品のいい燗酒はこれまで飲んだことがないですね。まあ正直、このお酒を燗酒にしたいという人は少ないでしょう。蔵元ですらやめてくれと言うかも知れません。しかし僕はこのお酒の燗には大きなポテンシャルがあると感じます。

誤解されないように申し上げておくと全部燗にして飲みたいわけではないです。キリッと冷やしても、燗にしてもどちらもうまい。どちらの温度にしてもしっかりと設計された「美酒」の根底は揺らがない。そんな懐の深い酒だなあと感じました。

ごちそうさまでした。