これから必ず伸びる日本酒(というか既に割と伸びてる)光栄菊の紹介

光栄菊は杜氏「山本克明」さんによって作られている日本酒である。

かつて愛知で「菊鷹」という日本酒を作っていた。いわゆるプレミアム酒ほどの知名度は無いが味は素晴らしく、ファンが大勢居た文句なしの銘酒である。4号瓶がなく一升瓶しか無いためになかなか家庭では買うことが出来ず(でかすぎて冷蔵庫に入らない、入っても大きすぎて家族に怒られるなど)、店でのみ楽しんでいた酒飲みも多いことだろう。メニューにあれば必ず頼みたい一本であった。

ところがある日、日本酒界に衝撃が訪れる。それは「菊鷹は終わる。山本杜氏が菊鷹を作るのをやめる。蔵をやめるらしい」というもの。

多くのファンが悲嘆に暮れた。「菊鷹」の味は「菊鷹」でしか飲めない。正直他の酒とソコソコ似た味の別の酒というのはあったりする。しかし「菊鷹」はこれまでの飲酒人生から代替品を導き出すことが出来ない。確固たる地位なのである。多くの人間がそう思っていたであろう。

最後の菊鷹ロットも発表され、もはやこれまで、現存する菊鷹を大事に飲もう、誰もがそう諦めかけていたその時、再び日本酒界、激震。

「山本杜氏が佐賀の蔵で酒造りを始めるらしい」

え?ほんとか!!でもなんで佐賀??という疑問は誰もが持ったことだろう。しかし再び作ってくれるとなれば我々からとしてはどこでも良い。願ったり叶ったりである。菊鷹ファン歓喜、各飲み屋、酒屋も仕入れに向けアップを始めていたに違いない。ちなみになぜ佐賀なのかというと、佐賀で休止していた蔵を復活させた、とのことである。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191202-03460712-saga-l41headlines.yahoo.co.jp

そして去年の暮れ、ついに山本杜氏の新作にありつくことが出来た。それが光栄菊であった。

優しいオリの風味、そこそこどっしりとした酒のボディ、爽やかな程よく熟れたグレープフルーツのような香りと酸味。それらが上手くまとまり、一度に押し寄せる。余韻も心地よく、ソコソコ重いはずの味わいが徐々に引いていくことで「もう1杯、もう1杯...」と杯が進んでしまう。

バランスが良い、とはまた違う。各部分が個性的なのになぜかまとまっているという印象を受ける。バランスの良い酒といえばやはり 新政No.6 があるが、新政がどんな人にも好かれる優しい優等生との心地よいおしゃべりタイムだとすると、光栄菊は尖ったバンドメンバーがそれぞれ好きなことをしてるが息のあっているオルタナティヴを聞いている、そんな酒であると感じる。

流行りに敏感な日本酒好き飲み屋には置いてるっぽいので、見かけたら飲んでみてほしい。