MAZDA3 FASTBACK 15S touring (AT) インプレッション

昨年、MAZDA3 FASTBACK 15S touring (AT) が納車されました。

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納車から半年以上が立ちましたので、ここらでレビューしてみようと思います。既に様々な方が YouTube などで詳細レビューをされていますが、長々としたレビューを文章で見たい人のためにつらつらと書いて見ようと思います。

デザイン

まずはデザインからです。MAZDA3 FASTBACK のデザインは既に散々話題になってますが、改めて見てみたいと思います。

外装デザイン

誰が見ても直感でカッコ良いと感じるデザインに仕上がっていると思います。塊感が見事に表されています。「誰もがひと目で惚れるデザイン」というのが、よく開発者インタビューで語られていて、そんなこと可能なのかよと思ったのですが文句無しで達成できているのはすごいことだなと思います。

前から見ると、迫り来るようなライト周りと迫力あるグリルがありながらも、余計な装飾がなくすっきりとしており、低めに見えるデザインかつメッキを使っていないためスポーティーな印象を受けます。ワイパーは未使用時に勝手に収納され車体内外からの見た目を良くしているということでこだわりを感じます。


15S と 15S touring グレードより上のグレードでは、デイライトがついたり、ポジションランプが LED になったりします。まあ個人的にはそこまで気になっていません。

横から見ると多少前後短く見えますが、FFかつ4人がゆったりと乗車可能なパッケージングと考えると、工夫され比較的伸びやかなデザインになっているかなと思います。キャラクターラインを廃して曲がりだけで表現されたサイドの造形はとにかく驚きで、光を見事に車体のデザインに取り込むことができています。ドアのウィンドウも面積を大きくしないことで、デザイン優先でシャープな印象を出せていると思います。ここで突然ウィンドウ下にメッキを使っていますが特にこれで破綻している感じもないのでまあ良いのかなと思います。

後ろから見ると3ナンバー幅なワイドな車体で、かつ上に向かって絞り込むような形になっています。これによって車体下部がどっしりとして見え、非常に走りを期待させるようなデザインを実現できています。リアのデザインも非常に特徴的で、特別感を強く感じます。


15S と 15S touring グレードの注意点として、このテールランプのうち、内側2つはダミーであるという仕様があります。光そうですが、光りません(笑)。これは契約してから気がついたのでまじか!!という感じでした。このランプを光らせるべく、MAZDAディーラから内側のテールランプを取り寄せて取り付けている人もいました。

内装デザイン

国内のこの価格帯で考えるとトップクラスであると思います。手が触れそう、目が行きそうな場所にはほとんどソフトパッドが使われているほか、スティッチもかなりの箇所で入っています。ダッシュボード上はハードプラのような見た目かと思いきや柔らかく、割と上質なものが使われています。15S Touring は一番下から2番目という安価グレードですが、それでも上位グレードと比べて安っぽさが全然感じられないのは驚きです。


ナビ画面はちょっと上が短いので、上が進行方向だと道の先がなかなか表示されないため、もう少し上に長いほうが良かったかなと思います。ただし運転を邪魔しないのでこれはこれで満足かなと思っています。


運転席は適度な包まれ感があり、運転に集中できる環境が整っています。メータ、各種スイッチ類、シフト、全てが適正な位置にあり素晴らしいです。

メータはセンターのみ液晶なのですが、アナログメータ表示にするとぱっと見で全部物理メータに見えるのは面白いです。針のアナログな動きも見事に表現できていると思います。表示切り替えも可能で、車体周りのセンサを図示した画面にできます。一方で、スポーツモードにしたら赤くなるとか、よりスポーティーなメータ表示にするとか、そういったおもしろメータみたいな表示機能はありません。

ヘッドアップディスプレイがこの価格帯で標準装備なのは驚きです。速度、ナビの車線案内、左右からの車接近警告がでます。視線を正面からほぼ動かさずに確認できるので、予想以上に便利で安全性にも寄与していると思います。欲を言えばブレーキホールドの状態も出て欲しかったです。


このグレードはシートがファブリックですが妙に質が良く見えます。革シートは暑いとかいう人はむしろこっちの方が嬉しいかもしれません。ただどうしても革シートに比べると姿勢が少し滑りやすいかなという感じはあります。どうしても革シートにしたければ、2022年4月現在では1.5リッターエンジンではラインナップがありませんので、2リッターもしくはディーゼルやSkyActive-X をチョイスする必要があります。自分は他社製の革シートカバーをつけることにしました。

このシートはもう散々あちこちで言われていますが、骨盤を支えるシートです。このシートもマツダの思想が色濃く反映されているもので、骨盤を立てるという機能を売りにしています。初めは違和感を感じて、また中々ベストなポジションが決まらずに落ち着かなかったのですが、慣れるとサポート力の強さを感じとても良いです。

ドライビングフィール

MAZDA3 は複数のエンジンラインナップがあり、それぞれで重量やエンジンのフィールが違うため車の性格が異なるようです。このレビューはあくまでも1.5リッターガソリンエンジン専用として御覧ください。

エンジン


この車のエンジンは 1.5L の NA レギュラーガソリンエンジンです。型番は P5-VPS で6,000回転まで回して111馬力。最大トルクは 3,500 回転まで回して 146N・mとなっています。かつてアクセラと呼ばれていた時代と同じ型番のエンジンで、ロードスターはこのエンジンをベースに専用部品を搭載しまくった P5-VPS[RS] です。


111馬力しかないスペックを見てわかる通り、パワーはありません。じゃあパワー不足なのかというとそうではないと思います。では意外とパワーが有るのかというと、それもそうではないと思います(え?)。


まず、車体重量がエンジンのパワーより勝っている、という感じはどうしてもあります。もう少し細かく言うと、アクセルの踏んだ量に対しトルクが少し乏しい感じがあります。停車状態から発進するときにはこの感覚が顕著です。これには少量踏んだだけでドカンとパワーを出すような、他メーカーが(車種によっては)採用している味付け(悪く言うと、パワーを誤魔化す味付け)をしていないというのも関係していると思われますが、エンジンの性能的にもしょうがないものです。


しかしながら、驚くべきは吹け上がりと反応の良さです。アクセルを踏んだとき、エンジンがすぐに反応する感じがあり、また比較的軽やかに吹け上がります。良い意味で1.5リッターのNDロードスターを低コスト車向けにデチューンしたような感覚で、ブオーーー!という気持ちの良い音とともに吹け上がります。


この反応の良さと吹け上がりの軽やかさによって回転がキレイに上がりますので、トルク感が少なくても、ほしいパワーを引き出せるところまで回転をスイッと持っていける感じがあります。これが若干のアンダーパワー感を打ち消しにいっている印象があります。このようなエンジン特性があるために「速くはないが、これでパワーは必要十分じゃない?」という評価に落ち着くエンジンになっていると思います。

街乗り

街乗りでは、車体がエンジンに勝っている感覚はあるものの、パワーがないなあと感じるまでもない絶妙な印象に落ち着いています。


発進時は少しアンダーパワー感がありますが、回転を上げてしまえば、少し踏むだけでぐいっと車体を前に押し出してくれる力感があります。そのためキビキビ走りたければ回転を積極的に上げていく必要があるのですが、吹け上がりがスムーズで音も良いことから、エンジンを回すことに対してネガティブな印象がなく、むしろ積極的にアクセルを踏みたくなってしまうエンジンになっているのが好印象です。


これによって、ただ近所のスーパーマーケットに買物を行くだけでも楽しませてくれるエンジンとなっています。街乗りの場合は大体2000~3000回転前後をウロウロすることになると思いますが、このあたりはとても気分がよく、無駄にアクセルを踏みたくなるようなフィールになっています。


ただしどうしてもネガが目立つのが坂道に差し掛かったときで、特に立体駐車場の入り口などは、これまで平地ではスイーっと進んでいたのがいきなり登らなくなったぞ!みたいな感覚を感じます。ぐいっと踏むか、シフトダウンすれば勢い良く登りますが、そういうアクションが必要となるエンジンです。エンジンの音は良いため不快感はありませんし、NAの軽自動車のようなパワー不足感ではないということは強調したいと思いますが、このエンジン、実際は MAZDA2 クラスの車だとピッタリなんだろうなあという印象です。

ワインディング

ワインディングでも街乗りと同様、車体がエンジンに勝っている感覚がずっとついて回るものになっています。この感覚はどんなに回転数を上げパワーを出しても変わりません。所詮は111馬力なので、回転を上げに上げてもパワーは大したことはないです。カローラアクシオとかと同じレベルのパワー感です。


ただしやはり吹け上がりがよく、また高回転域までキレイに回っていく印象があります。トルク感を強く感じる部分は4000回転ぐらいで打ち止め感がありますが、やはり吹け上がりの良さで力感をカバーしている感じがあります。またワインディングでは基本的にはずっと走り続けているので、街乗りのような発進時での重さが感じにくいです。


特に良かったのはギアを下げたときのエンジンブレーキです。ブオォォン!という気持ちの良い音とともに減速するこのフィールはめちゃくちゃスポーティーです。MT モードを使って無駄にギアを落としたくなります。


速度は出ないものの、音や反応の良さ、回転の吹け上がりの良さといった、性能というものでは表すことのできない、気持ちよさという部分で楽しませるエンジンになっているのかと思います。逆に言えば、性能を求めている場合はそれに答えることはできないエンジンであると思います。性能を引き出してガンガン走ってやるぜ!!と思ってワインディングに行くとがっかりすると思われます。


かく言う自分も正直初めてワインディングを走ったときは、パワー感が乏しくて拍子抜けしてしまいましたが、最近は特にそうも思わなくなりました。パワー感に慣れてしまったというのもあると思いますし、パワーが足りなければその分踏んでエンジンを回せば良いので、ガンガン回すアクセルワークに慣れてしまったのかもしれません。

高速道路

この車で一番驚いたのは高速道路です。正直このエンジンと AT の組み合わせが一番光るのは高速道路かもしれません。


まず一般道やワインディングでエンジンが車体に負けてる感を感じていたことから、高速道路でもどうせそうなんだろうと思って乗ってみると、驚くほど速度を乗せやすい事に気が付きます。特に追越車線を走るとき、少し強めにアクセルを踏むと、AT が意図を汲み取ったようにすぐにシフトダウンし加速します。流石に爆速というわけではありませんがスムーズに速度が上がりますし、またその間の音が素晴らしく、ブオォォォー!!と非常に気持ちの良い音と吹け上がりで加速していきます。何度かこのフィールを体感していると「今、スポーツカーに乗ってるのかな?」と思うぐらい素晴らしいものです。加速するときは MT モードに使いたくなるのが車好きの性だと思っていましたが、正直この車で高速道路を走るということに関しては AT に全部任せるほうが気持ちが良いと思います。スポーツモードにすると更によく走るようになるのでさらに印象が良くなります。


おそらく、街中や峠道と違って平坦が多く、速度がのっている状態であることから重さのデメリットが表れにくく、そこにエンジンの吹け上がりと反応の良さ、AT の賢さが加わって、とても気分が良い加速フィールを生み出しているものと思われます。


もちろんアクセルを踏まなければゆったりと走ることももちろん可能ですし、エンジンに急かされることもないので巡航は快適だと思います。

車体操作の印象


この車は全長が 4,460mm、全幅が 1,795mm あります。車両重量は 1,340kg です。


ちなみに全幅はライバルとされるカローラスポーツが 1,790mm、インプレッサが 1,775mmです。


この1.5L エンジン搭載車は、2.0L エンジンに比べて 20kg 軽量です。1.8L ディーゼルと比べると 60kg 軽量であり、SKYACTIVE-X エンジンと比較すると、同じホイールサイズであれば 110kg も軽量です。なお、15S touring は標準で18インチタイヤを装着しています。

街乗り

車体は大きいのですが慣れの範疇です。ただし死角はどうしても感じる場面はあります。特に左折する時に、左方向から走ってくる自転車や歩行者はかなり見づらいです。危ないと感じることもあります。


あとバック駐車については、後方視界が壊滅的とよく言われますが「360度カメラがあれば全く問題ない」と思いました。まず、目視で斜め後ろを運転席から視認するのは死角が多すぎて不可能と思ってもらって良いです。諦めてください。バックカメラを使う前提になります。ただしバックカメラだけでは少し心もとない感じがあります。なぜなら斜め後ろだけでなく、各部のピラーが太かったりして死角が割と多いからですね。360度カメラオプションをつけるのはほぼ必須と言って良いと思います。これが付けば全方向を一画面で見渡せますし、接近センサーもちゃんと付いているのでぶつかりそうになったり歩行者が歩いていればちゃんと警告されますから、実は目視よりも圧倒的に安全駐車できる車となっているのかなと思います。


住宅地などによくある狭い曲道に関してはこの車の苦手とするところですが、360度カメラさえあれば全方位見ながら曲がれますので、多分この車よりも少し小さくてカメラがない車と同等の取り回しか、下手するとこちらのほうが運転が楽です。


車体の大きさの割には妙に軽快な走りを持っており、街中でも軽快感を感じ取ることができるものです。近所のスーパーに買物に行くだけでも楽しめる車体がとても気に入っています。ハンドリングとしてはわりとしっとりとした動きではあるのですが、そこに軽快さが混じっていてなんだか少し不思議な感じです。

ワインディング

ワインディングに持ち込んだ感想ですが、まず車体が大きいのが気になります。一世代前のエスティマ(全幅1700mm)よりでかい全幅は流石に日本の山道では辛い場面が出てきます。どんな車も大型化しているのでしょうがないのですが、山道は早々広くならないのでキツイなあと思っています。ただし、人間は意外と優秀でこれは乗っているうちに慣れてはきます。


くねくねした道では運動性能の良さが光ります。車体自体はさほど軽量というわけではないのですが、コーナーに対して鼻先をスッと曲げて、そのままスッとグイグイ曲がっていく印象で、これはかなり良いです。ただしカローラスポーツのほうがサスの上質感は高かったと思います。踏ん張りつつ、しなやかに曲がる印象でした。ただしスポーティー感はそんなには感じられず、そこは MAZDA3 に軍配が上がります。荒れた路面ではネガを感じる揺れはあるにはありますが、スポーティーな車であればそこまで気にするポイントではないのかなと思いました。


まあ正直ハンドルはもうちょっとクイックな味付けのほうがスポーティー感の演出としては良いと思いますが、あえてマツダは人馬一体を突き詰めた結果そうしていないというのがあります。


目線は低めになっていて、シートを下げればめちゃくちゃ低くなるので、スポーティー感にあふれています。シートを下げれば地面が近くなり、加速感がより強くなるので速度を出さなくても満足感があります。 デフォルトの状態でもかなりシートが低く、この車が納車されてまず行ったのがシートを上げまくることでした。

高速道路

決して安定してないことはないのですが、速度が上がるとちょっと車が動きたがる感じがあります。軽快な操作フィールが高速道路でも残っている感じです。もうちょっとだけ落ち着いても良いとは思いますが、不満ではありません。レーダークルーズコントロールがついているので、高速道路では快適な方だと思います。

ペダルレイアウト

パッと目を引くのがオルガンペダルである点です。この価格帯でオルガンペダルの車はMAZDA以外で国内では存在しませんので、非常に貴重です。自分はオルガンペダル大好きなのでとても嬉しく思っています。


このペダルレイアウトは MAZDA の思想が色濃く出ているペダルレイアウトです。人間をコクピットの中央に座らせ、更にそのまま足を伸ばしたときに自然とペダルに触れることができるようになっています。正直はじめはそれがどう作用しているのかよくわかりませんでした。しかししばらくして別の車に乗ったときに、あまりのレイアウトの不自然さに驚きました。試乗でもわかりにくいポイントかも知れませんが、一度これに慣れると適当なペダルレイアウトの車に違和感を覚えるようになります。

ブレーキ


前後ディスクブレーキです。ちなみにサイドブレーキは電子式となっています。

街乗り

これはよくある話ですが、はじめは「なんじゃこりゃ」と思いましたね。MAZDA3 のブレーキはマツダの思想が色濃く反映されているので、ちょっと踏んでも大して効かず、踏み込んでいくとジワジワと効いていくブレーキになっています。


マツダとしては「これがコントローラブルなブレーキで理想的である」ということでこういうフィールになっています。


正直これ体験したときは「こんなに他メーカと感覚ズレたブレーキ提供されても...押し付けがましい」と思っていたのですが、慣れるとこれは素晴らしいブレーキだなと思うようになりました。とにかくコントローラブルで、狙った制動力を正確に引き出せるブレーキです。また踏み込めばしっかりと効くので必要十分の制動力があります。これに慣れると、他メーカのブレーキを踏んだときにいきなり効いて怖くて、使いづらいと思ってしまいます。


イメージとしては自転車のブレーキ感覚に近いです。ぐぐぐって感じ。

ワインディング

ワインディングでもコントローラブルでとても良いです。なんの不満もないですね。

トランスミッション(AT)


SKYACTIV-DRIVE と呼ばれる MAZDA 独自開発の6速 AT が搭載されています。個人的には AT セレクタの MT モードが前にするとシフトダウン、後ろに引くとシフトアップというのが気に入っています。BMW などヨーロッパメーカーと同じですので。

街乗り

CVT と比べると気分の良さが段違いです。また AT にも関わらず変速にダイレクト感があります。これが街乗り性能でどうかわるかどうかという話はさておき、普段乗りでも気分が良いというのは車好きにとってはとても大きなポイントです。変速ショックは全く感じられず、また変速の速度が恐ろしく速いためこれも良い点です。

ワインディング

山道だと積極的にマニュアルモードを使いたくなるのですが、これが素晴らしいです。これまで経験してきた AT のマニュアルモードはどうしてもギアを入れた後にラグがありました。


例えば MT の場合、2速から3速にする時はギアを3速に入れたら3速になり、あとはクラッチを繋げれば良いわけです。この一連の流れは人間が操作しているので、人間が操作完了と思った時点で変速は完了しています。


しかしATのマニュアルモードは電子制御ですので、3速に入れる操作を人間が完了しても即座に3速にはならず、その後機械がギアチェンジするまでアクセルを踏んだまましばらく待つ必要があります。つまり人間が操作完了と思っても変速は完了していないわけです。この人間と機械の感覚のズレというか、ラグが非常に違和感のあるのもので、運転の楽しさに影響するものでした。


前に乗っていたミニクーパー(F56型。DCT ではなく通常のトルコン AT)がまさにそうで、まあ AT だししょうがないかな、DCT だと違うのかな〜と思っていたのでした。


ところが MAZDA3 の AT についている MT モードは、このラグがとても短く、全く違和感がないものになっています。操作したらほぼ即座にギアが入る感覚で、MT よりも圧倒的に速く変速できると感じ、車を操っている感覚が変速で途切れません。これはとても素晴らしいものだなと思いましたし、一度この素早さを経験するとラグがある AT には乗れないな、とも思いました。とはいえ最近の CVT は質が上っているらしいのでそこは気になるところです。

スポーツモード

MAZDA3 のスポーツモードは、パワーをUPさせるというよりもアクセルに対するリニアさを強化するモードになっていると思います。


通常モードでは、どうしても燃費優先になっているのかアクセルを踏んでも少しタメのようなものを感じたり、控えめにエンジンを回すようになっています。しかしスポーツモードにすれば、それらがなくなって即座にアクセル操作に反応するようなフィールになります。


スポーツモードというとワインディングでの利用を考えたくなると思いますが、どちらかというと高回転を使うステージよりも、チマチマとした操作を行う日常の道や、あまり回転をあげずに巡航する高速道路でのほうが効果を実感しやすいです。


パワー感も一応上がりますが、所詮ターボも付いていない NA なので、スポーツモードにしたところでブーストアップもないためにそこまで大きく感じれるものではありません。人馬一体感をより高めるモードである、という認識のほうが正しい気がします。

使い勝手

4人乗れるスペシャリティーカーというテーマから作られているため、4人乗車はもちろんのこと、普段の生活に使えるラゲッジも確保されていると感じます。

後席


後席は3人乗れますが、スペースの関係上実質2人を乗せる空間となっています。たまに後席を「狭い」と評価されるこの車ですが、個人的には十分な空間が確保されていると思います。乗り込んでみると意外と広く、大人2人であれば十分に乗ることができます。よくライバルとして比較されるカローラスポーツよりも広いはずです。



写真のように、助手席を快適な位置に調整した状態で後席に座って見ても、十分なスペースが確保されていると感じます。


またシートの質が異様によく、リクライニングはできませんがコシがしっかりとしていて疲れにくいです。数十キロが限界という後席ではなく、高速道路を使って長距離のドライブにも利用できるようなものです。後席シートの真ん中には引き出すとちゃんとした高さで止まるアームレストもあります。窓も小さいですが全部開きますし、乗り込んでしまえば快適です。


チャイルドシートも特に無理なく設置することができます。
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ただしスタイリッシュなデザインの関係上、乗り込み口はどうしても狭いです。この車に初めて乗る人は大抵頭をぶつけています。スポーツカーみたく腰から入るように座れば問題なく乗り込めます。


あとは同乗者に嬉しいポイントとしては静粛性の高さです。今は他の車もかなり高いレベルにあるかもしれませんが、発売当初のレベルでは素晴らしいと思います。アイドリングストップを音にしてエンジンが停止すると本当にスッと静寂が訪れるような静粛性になっています。

トランク

十分な広さがあると思います。ライバルの車と比べて少しだけ狭いとよく言われますが、今の所大人二人、乳児一人の家族3人での生活で足りないと思ったことはありません。



ベビーカーもしっかりと乗せることができます。


唯一困った場面は背の高い植木を運ぶときでしたが、正直めったに無いと思うので許容範囲内です。

まとめ


普段の道を彩りあるものに変える4人乗りカーとして素晴らしい出来だと思います。デザインは文句なく素晴らしく、内装も高レベルで車好きにとっては満足の行くものとなっていると思います。後席にも大人が乗れる余裕があり、チャイルドシートも設置可能とくれば、車好きで家族もいる家庭でも検討できる車に仕上がっていると思います。


一方で1.5リッターエンジンについては、町乗りでスポーティーさを感じることからワインディングへの期待を膨らませすぎると、ワインディングで「あれ??こんなもの??」という印象を受けると思います。見た目がスポーティーなので過激な走りを期待してしまう人も多いのかと思いますが、エンジンそのものはスポーティーテイストこそあるものの、刺激やスポーティーな加速性能といったものはほぼありません。そのため街乗り試乗で吹け上がりが比較的良いということでスポーティーカーテイストを過剰に期待するとがっかりする、ということになります。


ただし、普通の乗用車1.5LNAレギュラーガソリンエンジンの中では圧倒的に吹け上がりが良いことから、スポーティーのエッセンスは確実にありますし、車体の運動性能もとても良いので、十分スポーティーカーとして認識できるものです。またこの価格帯で、エンジンの吹け上がりがよく、4人が問題なく乗ることができる車となっている点がポイントかなと思っており、そんな車は国内をみても他にないので、非常に素晴らしい存在ではないかと思います。


また普段の街乗りでも気持ちの良いエンジンの吹け上がりが楽しめるというは当初思っていた以上に良い部分で、例えばチャイルドシートに子どもを乗せていて、慎重に運転しないと行けない場面が毎日続いたとしても、エンジンの吹け上がりが気持ち良いので満足できるという車になっています。


まあ正直いうと、見た目が走りのやる気に満ちているので、それに合わせてもう少しエンジンの性能は欲しかったと思っています。ターボほしいな~とか。ただし値段との兼ね合いもあるで、とりあえず現状は満足の行く買い物をしたかなと思っている次第です。